下記の資料は,全国教育ボランティアの会主催の「生きいきワクワク体験親子の集い」 (7月12日,東京都調布市)のお話で使用した資料です.14日以後のニューホライズンズ の最新情報は,最新情報 をご覧ください. ◎はじめに 「冥王星」は,1930年に,海王星の外側をめぐる第9番目の惑星として発見された. 水星から土星までの5大惑星は昔から知られていて,早くから占星術にも使われていた. これに地球を加えて,惑星は6個ということになっていたが,望遠鏡が登場すると,7番 目の惑星「天王星」が1781年,ウィリアム・ハーシェルによって発見された. その後この天王星の軌道がふらついていることが発見され,そのふらつきをもたらす ものとして「海王星」の存在が予言された.そして1846年,ルヴェリエとアダムスの予言 どおりに海王星が発見された. アメリカの天文学者,パーシヴァル・ローウェルは,第9番目の惑星の存在を予言し, これを発見するために私費で天文台を作って観測を行った.(この天文台で,彼は火星 の観測も熱心に行って,火星には火星人がいると唱えた.)彼の死後,彼の遺志を継いで 観測を行ったクライド・トンボーによって,1930年,冥王星が発見された.なお,冥王星 の英語名「プルートー」は,イギリスの当時11歳の少女ヴェネチア・バーニーが命名した ものである. 1978年,冥王星に衛星があることがアメリカの天文学者ジェームズ・クリスティーによって 発見され,「カロン」と命名された. 1992年,冥王星のさらに外側に小さな惑星が発見されたが,大きさが冥王星の20分の1 くらいだったので,「小惑星」ということになった.(1992 QB1) その後つぎつぎと同様な天体が発見され,ついに2003年,冥王星よりも大きな「エリス」 が発見された.そして,エリスを第10番目の惑星にするか,議論が起こった. 2006年,アメリカの探査機「ニューホライズンズ」が打ち上げられる. 2006年8月,国際天文学連合の総会で,エリスは第10番目の惑星とはせず,冥王星をも含め て「準惑星」に分類することに決定.これで惑星は海王星までの8個のみとなり,冥王星程度 の大きさの天体5個が準惑星に指定された. 2015年7月14日,ニューホライズンズが冥王星の近くを通過.
◎今日の星空 ステラナビゲータを使用 南の空にきれいな星がある.星座は? (ステラナビゲータで作成した,7月12日21時の南の空) 星座の線で結ばれない星がある! → 「惑星」 (星座の星は「恒星」) ※以下,国立天文台のソフト「4d2u Mitaka」を使用して表示. 惑星の名前を表示 → 「土星」 → 拡大 他にどんな星が見えるか? → 夕方の西の空に「金星」と「木星」 →(右図は金星の拡大図) 金星は,今がちょうど見ごろ.(8月には明け方の東の空に移ってしまう) 他にどんな惑星があるか? → 水金地火木土天海 (国際天文学連合のページより,Planets = 惑星,Dwarf Planets = 準惑星) → 冥王星 (Pluto) がない! → 2006年の国際天文学連合の総会で「準惑星」になった.
◎冥王星のおはなし ※4d2u Mitaka の軌道図を用いて表示 → 惑星は(地球も含めて)みな太陽の周りを回っている.→ 「軌道」 ※(いろいろ向きを変えたり,動かしたりしてみる) (ステラナビゲータにより作成) 準惑星の軌道 → 冥王星を始め,みな軌道は大きく傾いている. (国立天文台,4d2u Mitaka により作成) ○冥王星の発見 1930年,アメリカのローウェル天文台のトンボーという人が,天体写真の上で発見. (wikipedia 写真) 右はトンボーが冥王星を発見した写真(下は3日後) (拡大) (科学博物館のページより) ローウェル天文台というのは,アメリカのお金持ちの天文学者,パーシバル・ローウェル という人が,自分のお金で作った天文台.火星に火星人がいる,および海王星の外側にさら に第9番目の惑星がある,と考えてその発見のために天文台を作った.(wikipedia 写真) ローウェルの火星地図, 冥王星は,ローウェルが死んで14年後に発見された. 火星人は,どうも居そうもない. (マリナー渓谷,火星探査ロボット) 「冥王星」の英語名「プルートー」の名前は,イギリスの,当時11歳の少女ヴェネチア・ バーニーが命名した.(ディズニーのプルートはその後)(プルート引用元) 1978年,冥王星には衛星「カロン」があることがわかった.(二重惑星) ○第10惑星のおはなし 2002年頃から,冥王星の外側に,冥王星より少し小さい天体がいろいろ発見された. ついに2003年,冥王星よりも大きい天体が発見された. エリス(左上) 2003年の国際天文学会で,これを第10惑星とするかどうかで議論が起こった. 次の2006年の国際天文学会でも議論はまとまらず,学会の総会で決議することになった. 採決の結果,賛成多数で以下のように決まった: 1)惑星は,「水金地火木土天海」の8個だけとする. 2)冥王星と,新発見のエリス,および同じくらいの大きさの惑星は「準惑星」とする. 3)準惑星は当面,冥王星,エリス,マケマケ,ハウメア,ケレス(AstroArts 写真) の5つとする. 2006年,チェコ,プラハでの国際天文学連合総会での議決風景 採決前の提案説明 会場全体 採決により,冥王星は惑星から外れる (国際天文学連合ホームページより) ○冥王星探査機「ニューホライズンズ」 2006年1月,冥王星を目指して探査機「ニューホライズンズ」が, アメリカから打ち上げられた. (元のページ,詳しい説明がある) ロケットに格納(America Space より) 9年半かけて,やっと冥王星に到着. 読売新聞7月10日の記事より. 7月9日の最新の映像 (JHU ホームページより) あさって7月14日,冥王星の近くを通過(1時間くらいでさっと通過). あさって以降,順次写真が公表される予定. たのしみに!! おわり
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