再び登場,冥王星

   2015年7月12日,調布にて     全国教育ボランティアの会   中嶋浩一
下記の資料は,全国教育ボランティアの会主催の「生きいきワクワク体験親子の集い」
(7月12日,東京都調布市)のお話で使用した資料です.14日以後のニューホライズンズ
の最新情報は,最新情報 をご覧ください.

◎はじめに
 「冥王星」は,1930年に,海王星の外側をめぐる第9番目の惑星として発見された.

 水星から土星までの5大惑星は昔から知られていて,早くから占星術にも使われていた.
これに地球を加えて,惑星は6個ということになっていたが,望遠鏡が登場すると,7番
目の惑星「天王星」が1781年,ウィリアム・ハーシェルによって発見された.

 その後この天王星の軌道がふらついていることが発見され,そのふらつきをもたらす
ものとして「海王星」の存在が予言された.そして1846年,ルヴェリエとアダムスの予言
どおりに海王星が発見された.

 アメリカの天文学者,パーシヴァル・ローウェルは,第9番目の惑星の存在を予言し,
これを発見するために私費で天文台を作って観測を行った.(この天文台で,彼は火星
の観測も熱心に行って,火星には火星人がいると唱えた.)彼の死後,彼の遺志を継いで
観測を行ったクライド・トンボーによって,1930年,冥王星が発見された.なお,冥王星
の英語名「プルートー」は,イギリスの当時11歳の少女ヴェネチア・バーニーが命名した
ものである.

 1978年,冥王星に衛星があることがアメリカの天文学者ジェームズ・クリスティーによって
発見され,「カロン」と命名された.

 1992年,冥王星のさらに外側に小さな惑星が発見されたが,大きさが冥王星の20分の1
くらいだったので,「小惑星」ということになった.(1992 QB1)

 その後つぎつぎと同様な天体が発見され,ついに2003年,冥王星よりも大きな「エリス」
が発見された.そして,エリスを第10番目の惑星にするか,議論が起こった.

 2006年,アメリカの探査機「ニューホライズンズ」が打ち上げられる.

 2006年8月,国際天文学連合の総会で,エリスは第10番目の惑星とはせず,冥王星をも含め
て「準惑星」に分類することに決定.これで惑星は海王星までの8個のみとなり,冥王星程度
の大きさの天体5個が準惑星に指定された.

 2015年7月14日,ニューホライズンズが冥王星の近くを通過.


◎今日の星空  ステラナビゲータを使用  南の空にきれいな星がある.星座は? (ステラナビゲータで作成した,7月12日21時の南の空)  星座の線で結ばれない星がある!  → 「惑星」 (星座の星は「恒星」)  ※以下,国立天文台のソフト「4d2u Mitaka」を使用して表示.  惑星の名前を表示 → 「土星」 → 拡大  他にどんな星が見えるか?  → 夕方の西の空に「金星」と「木星」 →(右図は金星の拡大図)    金星は,今がちょうど見ごろ.(8月には明け方の東の空に移ってしまう)  他にどんな惑星があるか? → 水金地火木土天海 (国際天文学連合のページより,Planets = 惑星,Dwarf Planets = 準惑星)  → 冥王星 (Pluto) がない!  → 2006年の国際天文学連合の総会で「準惑星」になった.
◎冥王星のおはなし  ※4d2u Mitaka の軌道図を用いて表示  → 惑星は(地球も含めて)みな太陽の周りを回っている.→ 「軌道」   ※(いろいろ向きを変えたり,動かしたりしてみる)  (ステラナビゲータにより作成)  準惑星の軌道   → 冥王星を始め,みな軌道は大きく傾いている.  (国立天文台,4d2u Mitaka により作成) ○冥王星の発見   1930年,アメリカのローウェル天文台のトンボーという人が,天体写真の上で発見.   (wikipedia 写真)  右はトンボーが冥王星を発見した写真(下は3日後) (拡大)  (科学博物館のページより)  ローウェル天文台というのは,アメリカのお金持ちの天文学者,パーシバル・ローウェル という人が,自分のお金で作った天文台.火星に火星人がいる,および海王星の外側にさら に第9番目の惑星がある,と考えてその発見のために天文台を作った.(wikipedia 写真)     ローウェルの火星地図,  冥王星は,ローウェルが死んで14年後に発見された.  火星人は,どうも居そうもない.   (マリナー渓谷火星探査ロボット)  「冥王星」の英語名「プルートー」の名前は,イギリスの,当時11歳の少女ヴェネチア・ バーニーが命名した.(ディズニーのプルートはその後)プルート引用元)  1978年,冥王星には衛星「カロン」があることがわかった.(二重惑星) ○第10惑星のおはなし  2002年頃から,冥王星の外側に,冥王星より少し小さい天体がいろいろ発見された.  ついに2003年,冥王星よりも大きい天体が発見された. エリス(左上)  2003年の国際天文学会で,これを第10惑星とするかどうかで議論が起こった.  次の2006年の国際天文学会でも議論はまとまらず,学会の総会で決議することになった.  採決の結果,賛成多数で以下のように決まった:  1)惑星は,「水金地火木土天海」の8個だけとする.  2)冥王星と,新発見のエリス,および同じくらいの大きさの惑星は「準惑星」とする.  3)準惑星は当面,冥王星,エリス,マケマケ,ハウメアケレス(AstroArts 写真) の5つとする.  2006年,チェコ,プラハでの国際天文学連合総会での議決風景   採決前の提案説明   会場全体   採決により,冥王星は惑星から外れる   (国際天文学連合ホームページより) ○冥王星探査機「ニューホライズンズ」  2006年1月,冥王星を目指して探査機「ニューホライズンズ」が, アメリカから打ち上げられた. (元のページ,詳しい説明がある)   ロケットに格納(America Space より)  9年半かけて,やっと冥王星に到着.   読売新聞7月10日の記事より.   7月9日の最新の映像 (JHU ホームページより)  あさって7月14日,冥王星の近くを通過(1時間くらいでさっと通過).  あさって以降,順次写真が公表される予定.  たのしみに!!                       おわり
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